年金だけで生活できるのか?実際の受給額と足りない分の補い方

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「年金だけで生活できるか」という問いを真面目に考えた

会社の先輩が58歳で早期退職した。退職後の生活について聞いたら、「年金がもらえるまでの7年間が正念場」という言葉が返ってきた。蓄えはあるが、毎月出ていくだけだと心理的に辛い。何か収入源を作らないといけないと考えていると言っていた。

その話を聞いてから、自分の年金見込み額と老後の生活費を改めて計算してみた。「年金だけで生活できる人って、そもそも何人くらいいるんだろう」という疑問も出てきた。調べた内容を整理する。

日本の年金制度の基本:2階建て構造を理解する

まず制度の確認から。日本の公的年金は2階建て構造になっている。

1階部分が「国民年金(老齢基礎年金)」。日本に住む20〜60歳の全員が加入する。40年間(480ヶ月)フル加入すると、2024年度の受給額は月67,808円(満額)。1ヶ月未納があると満額から減る。

2階部分が「厚生年金(老齢厚生年金)」。会社員や公務員が加入。国民年金に上乗せされる形で受給できる。金額は現役時代の報酬と加入期間によって異なる。

厚生年金の平均受給額(2023年度)は、男性が月約16.4万円、女性が月約10.7万円。ここには基礎年金部分も含まれる(合算額)。

一方、自営業者や無職の人は厚生年金に加入できないため、国民年金のみ。満額でも月67,808円。年間81万円程度だ。

平均的な生活費と比べるとどうなるか

総務省「家計調査」(2023年)によると、65歳以上の単身無職世帯の平均支出は月155,046円。

男性の厚生年金平均受給額16.4万円と比べると、月約9,000円のプラスになる計算だ。ただしこれは「平均」の話で、個人差が大きい。家賃がある賃貸住まいの場合、住居費だけで月5〜8万円が追加される。

持ち家がある、かつ退職金がある会社員(男性・大企業勤務)に限れば、年金だけでなんとかなる可能性は十分ある。しかし同じ「年金生活者」でも状況は人によって全然違う。

国民年金のみの場合(自営業者・フリーランス)は月6.7万円で、支出月15.5万円との差額は8.8万円。これを補填する手段がないと、明らかに足りない。

繰下げ受給の効果は想像以上に大きい

65歳からの受給を遅らせる「繰下げ受給」は、1ヶ月遅らせるごとに0.7%増額される。

  • 66歳受給開始:8.4%増
  • 68歳受給開始:25.2%増
  • 70歳受給開始:42.0%増
  • 75歳受給開始:84.0%増(2022年4月〜上限拡大)

70歳まで繰り下げた場合、月16.4万円の厚生年金が月23.3万円になる。月差額6.9万円の効果は絶大だ。

ただし繰下げには「その間の生活費をどう確保するか」という問題がある。65〜70歳の5年間、無収入では生活できない。貯蓄または就労が前提になる。また、早期に亡くなると損をする可能性もある(損益分岐点は男性82歳前後)。

健康に自信があり、65〜70歳の間も働けるまたは貯蓄がある人には、繰下げ受給が有力な選択肢になる。

個人年金:公的年金を「民間で補う」手段

年金が足りない分を補う手段として、個人年金保険がある。

僕が実際に加入しているのは「かんぽ生命の個人年金保険(確定年金)」。30歳から月12,000円を積み立てて、60歳から10年間毎年受け取る設計。受取総額は積立元本よりも若干多い程度(低金利時代なので劇的には増えない)。ただし元本が守られる安心感と、確実に受け取れるという意味での「強制貯蓄機能」には価値があると思っている。

もっと増やしたいなら、前述のiDeCoやNISAの方が長期では利率が高い可能性がある。個人年金は「確実性」、iDeCo/NISAは「成長性」という違いで使い分けるのが現実的だ。

シニアバイト・就労は「収入」以上の効果がある

先輩の話に戻ると、彼は退職後半年で「週3日、スーパーの品出し」のパートを始めた。月6〜7万円程度。「年金もらえるまでの繋ぎ」が目的だったが、意外な効果があったと言っていた。

「家にいると体が動かなくなるし、人と話す機会が全然なくなる。仕事に出ると何かしら用事ができるから、生活にリズムが出る」とのこと。

厚生労働省のデータでも、60〜64歳の就業率は約73%、65〜69歳でも約50%と、働いているシニアは多い。「定年=リタイア」という感覚は今の時代には合っていない。

シルバー人材センターを通じたアルバイト・パートは、定年後の就労口として選択肢が多い。自治体が運営しているため信頼性があり、週2〜3日・1日4〜5時間程度の軽作業が中心。月2〜7万円程度の収入が見込める。

足りない分を埋める組み合わせ戦略

結論として、「年金だけで生活できるか」は「できない人の方が多い」と言わざるを得ない。特に賃貸住まい・国民年金のみ・退職金なしのケースはかなり厳しい。

現実的な対処法は以下の組み合わせだ。

まず「年金を増やす」:繰下げ受給で月額を上げる。iDeCoで積立(現役中)。

次に「支出を下げる」:65歳以降の固定費を見直す。保険の解約(死亡保障は不要になる場合が多い)。格安SIMへの切り替え。

そして「収入を作る」:65歳以降も週2〜3日程度の就労を続ける。年金受給前の期間は特に重要。

さらに「貯蓄を取り崩す」:老後用の貯蓄(NISA/iDeCo/個人年金)を計画的に使う。

これらを組み合わせて「月の赤字をゼロに近づける」のが現実的な老後設計だ。「年金だけで楽々生活」を目指すのではなく、「複数の収入源で補い合う」という視点が大切だと、先輩の話を聞いて改めて感じた。

まずねんきん定期便の見込み額を確認して、今の支出と比べてみる。その差額を確認することから老後の計画は始まる。

※本記事は個人の体験に基づく情報提供であり、医療的助言ではありません。健康上の懸念がある場合は、医師にご相談ください。

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